習慣を変えるという、自分自身を使った実験
もう何年も前から、習慣というものをとても大切に考えています。(なかなか上手くいっていないが)
そのきっかけのひとつになったのが、『Atomic Habits(アトミック・ハビッツ)』という本です。
これまで読んできた本の中でも、自分にとって最も役に立っている一冊かもしれません。
そもそも僕は、あまり多読するタイプではありません。
気に入った本や役に立つと思った本を、何度も繰り返し読むことが多いんです。
小説もそれほど読むわけではありませんが、文学は結構好きだったりします。太宰治や芥川龍之介なんかは好きですね。夏目漱石は、ちょっと表現が難しく感じることもありますが。
まあ、文学の話は置いておいて、習慣の話に戻りましょう。
『アトミック・ハビッツ』は、ほんの些細な、小さな習慣を地道に積み重ねることで、生活や人生を少しずつ豊かにしていこうという本です。
単なる精神論ではなく、科学的な研究をもとに、習慣がどのように作られ、どうすれば変えられるのかが、さまざまな角度から書かれています。
これが本当に面白い。
その中でも、最近特に気に入っている考え方があります。
それは、習慣を「3つの層」に分けて考えるというものです。
玉ねぎの皮をイメージするとわかりやすいかもしれません。
一番外側が「結果」。
その内側が「プロセス」。
そして、一番奥の芯にあるのが「アイデンティティー」です。
……と言われても、なんのこっちゃ、と思いますよね。
僕も最初はそうでした。
これをもう少しやさしい言葉に置き換えてみます。
アイデンティティーというのは、自分がどんな人間なのかという認識や、価値観のようなものです。
でも、価値観と言われても、なんだかふわふわしていて、いまひとつピンときません。
そこで、もっと単純に、
「自分はどんなタイプの人間になりたいのか?」
と考えてみるわけです。
そして、2番目の層にある「プロセス」は、日々の行動や習慣のこと。
つまり、何かをしようとするときに、
「自分がなりたいと思っているタイプの人間なら、今、どんな行動を取るだろうか?」
と考えてみる。
そうやって毎日の行動を選んでいくことで、結果も少しずつ変わっていく。
実にシンプルな考え方ですが、これは人間にとって、かなり普遍的な原則に近いものなんじゃないかと思っています。
では、なぜ僕がこんなことを大切に考えているのか。
それは、自分が信じられないくらい、世の中のいろいろなものに流されやすい人間だからです。
とにかく、ものすごくハマりやすくて、ものすごく飽きっぽい。
ちょっと面白いYouTubeの動画を見つけると、気がつけば何時間も見ていたりします。
朝、何気なくスマホを手に取っただけなのに、いつの間にかどうでもいいSNSの投稿を延々と眺めている。
気がついたら、かなりの時間が過ぎているわけです。
まあ、誰にでもそんなことはあると思います。
でも、僕の場合は本当にひどいんです(笑)。
そんな自分を何とかしたいと思う一方で、無駄な時間を過ごしながら歳を重ねていくのも、それはそれで悪くないのかもしれない、とも思ったりします。
ただ、せっかくなら自分自身を使って、いろいろ実験してみるのも面白いんじゃないか。
そう考えるようになりました。
自分の行動や習慣を少し変えてみる。
すると、気分や考え方、日々の過ごし方がどう変わるのか。
うまくいかなければ、また別の方法を試してみる。
自分自身を実験台にするだけなら、誰かに迷惑をかけることも、あまりなさそうですしね。
大谷翔平選手のようなストイックなマインドで毎日を過ごせと言われたら、僕にはとても耐えられそうにありません(笑)。
でも、考え方を少しずつ整えながら、それに合わせて日々の行動を変えていく。
今のところ、そんなアプローチが自分には合っているようです。
そして、この本が面白いのは、先ほどの3つの層について、逆方向からのアプローチも書かれているところです。
「こんな人間になりたい」と考えて行動を変えていくだけではなく、ほんの小さな行動を積み重ねることで、自分自身に対する認識、つまりアイデンティティーそのものも変わっていくというのです。
これはなかなか興味深い話です。
自分の考え方が変われば行動が変わる。
そして、行動が変われば、自分の考え方も変わっていく。
どちらか一方ではなく、両方が影響し合っているわけですね。
こういうことを考えていると、人間というのは実に面白いものだなと思います。
何となく気分がモヤモヤしているときや、思うように物事が進まないとき。
この本を読み返すと、少し頭の中が整理されて、心がすかっとすることがあります。
何か大きな決意をする必要もないし、明日から別人になる必要もない。
ただ、今日の小さな行動をひとつ変えてみる。
それだけでも、十分に意味があるのかもしれません。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、僕のジャズギター教則本にも、この考え方を少しパクったようなことが書いてあります(笑)。
もちろん、自分なりに消化して、ギターの練習に置き換えたつもりなんですけど。
